雑記

日本肥満学会の神戸宣言 2018ってなに?〜肥満症の撲滅を目指して〜

こんにちは。
われわれが提供する理学療法の対象者の中には肥満を有している方がいます。
昨今、サルコペニア、フレイルと合わせて【肥満症】も注目されています。
ただ体重が重たい・軽いの問題ではないのです。
肥満は疾患ではありませんが、肥満症は疾患です。
そんな肥満症に対する取り組みとして、昨年肥満学会で【肥満症の撲滅】を目指して、領域を超えて協働する声明が発表されました。
今回は【日本肥満学会の神戸宣言 2018ってなに?〜肥満症の撲滅を目指して〜】をテーマにまとめていきたいと思います。

 

  • 23学会が連携して肥満症の撲滅を目指す
  • 神戸宣言2018
  • 本文肥満症は11の疾患に関連

23学会が連携して肥満症の撲滅を目指す

【肥満症】とは肥満に起因・関連する健康障害を有するか、健康障害が予測される内臓脂肪が過剰に蓄積しており、減量治療を必要とする状態をいいます。

肥満は疾患ではありませんが、肥満症は疾患であり、医学的な介入が必要となります。

日本は、生活習慣の変化に伴って20歳以上の肥満(体格指数 BMI≧25)の割合は、男性28.7%・女性21.3%に達しています。

特に男性については、過去50年間で肥満は倍増しています。

日本肥満学会は過去に「肥満症治療ガイドライン 2006」を策定しています。

肥満という身体状況の判定と、医学的観点から減量治療を必要とする肥満症を疾患として診断することとを明確に区別しています。

基本的な考え方は、肥満の程度に関わらず、体重を減らすことによって医学上のメリットのある人を適切に選び出し、医学的に適切な治療・管理を行うこととしています。

一方、肥満がもたらす健康障害は多岐にわたり、その予防・治療にはさまざまな専門家の協力が必要となります。

そこで日本医学会連合の呼びかけの下、肥満症に関連する23学会による「領域横断的な肥満症対策の推進に向けたワーキンググループ」が結成されました。

肥満症の撲滅を目指し、領域を超えて協働することが合意されたのです。

それが【神戸宣言 2018】です。

 

神戸宣言 2018

2018年 10月7日

【本文】

日本肥満学会は2000年に「新しい肥満の判定と肥満症の診断基準」を発表し、BMIで規定される肥満(Obesity)から、肥満に起因ないし関連する健康障害を合併し、医学的に減量を必要とする肥満症(Obesity disease)を選び出し、医学的に適切な治療・管理の対象とすることとしました。

すなわち、肥満という身体状況を判定することと医学的観点から減量を必要とする肥満症を疾病として診断することを明確に区別しました。

また、肥満症は必ずしも肥満の程度によらず、内臓脂肪蓄積のある場合には軽度な肥満でも健康障害を発症しやすいことが知られています。

肥満症の診断基準には、肥満に起因ないし関連し、減 量を必要とする健康障害として、 11の疾患・健康障害 (耐糖能障害、脂質異常症 、高血圧、高尿酸血症・痛風 、冠動脈疾患 、脳梗塞、非アルコール性脂肪性肝疾患、月経異常・不妊、閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群、運動器疾患、肥満関連腎臓病)が挙げられています。

肥満がもたらす健康障害は多岐に亘るものであるため、肥満症の治療には、様々な立場の医療者の協力が必要です。

肥満症の治療には食事療法や運動療法が重要ですが、高度肥満症においては、薬物療法や外科療法も選択肢となります。

また小児の肥満では家庭、学校を含めた取り組みも重要であり、高齢者の肥満ではサルコペニアやフレイル、ロコモティブシンドロームの予防にも留意する必要 があります。

このように肥満症への有効な対策を行うためには、社会を含めた多面的な協力・連携が重要と考えられ、日本医学会連合に加盟する内科系学会はもとより、外科系学会・小児科学会・産科婦人科学会・整形外科学会・精神神経系学会などとも連携して、わが国の英知を結集し領域横断的に対応することが必要であると考えます。

日本医学会連合の中で肥満症と関連する23 学会が、第39 回日本肥満学会の開催されている神戸に集結し、肥満症の撲滅を目指して、領域を超えて協働することに合意しました。

その決意をここに「神戸宣言 2018」として宣言します。

日本肥満学会公式ホームページより本文を抜粋

 

日本医学会連合「領域横断的肥満症ワーキンググループ」23学会

日本肥満学会

日本内科学会

日本糖尿病学会

日本動脈硬化学会

日本高血圧学会

日本循環器学会

日本呼吸器学会

日本肝臓学会

日本腎臓学会

日本外科学会

日本整形外科学会

日本小児科学会

日本産科婦人科学会

日本病態栄養学会

日本体力医学会

日本癌学会

日本疫学会

日本老年医学会

日本脳卒中学会

日本肥満症治療学会

日本臨床栄養学会

日本痛風・核酸代謝学会

日本総合病院精神医学会

 

肥満症は11もの疾患に関連している

先ほど述べたように、昨年開催された第39回日本肥満学会で行われた合同特別プログラムで、ワーキンググループ・グループ長の春日雅人氏(朝日生命成人病研究所所長)により、その決意が「神戸宣言2018」として発表されました。

肥満症に関連する11の疾患

耐糖能障害

脂質異常症

高血圧

高尿酸血症・痛風

冠動脈疾患

脳梗塞

非アルコール性脂肪性肝疾患

月経異常・不妊

閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群

運動器疾患

肥満関連腎臓病

診断基準には含まれていませんが、肥満に関連する他の健康障害として、大腸がん、膵臓がん、肝臓がん、子宮体がん、乳がんなどの悪性疾患や胆石症 、静脈血栓症・肺塞栓症などの疾患があります。

また、高度肥満症(BMI≧35)の注意すべき健康障害として心不全、肥満低換気症候群などがあります。

更に摂食過剰となる背景には、うつ病をはじめとする精神疾患の合併や心理社会的問題が存在することも指摘されています。

一方で、超高齢社会を迎えたわが国で増加するサルコペニアは、運動器の脆弱化であるロコモティブシンドロームや加齢に伴う心身の脆弱化であるフレイルに繋がることにより健康寿命を短縮し、生活の質を低下させ、心血管疾患や死亡のリスクを高める可能性が指摘されています。

フレイルやサルコペニアなど筋肉量減少に配慮が必要な高齢者の肥満症、薬物療法や外科治療が選択肢となる高度肥満症、家庭や学校と改善に取り組む小児肥満症、肥満症治療薬の開発など、肥満症の治療・予防の方法は多岐にわたっています。

太っているから痩せましょう

というような、短絡的で一方向的な考えでは肥満症は通用しません。

アメリカを含め海外では肥満症を治療するという考え方が一般化しています。

しかし、日本はまだまだ肥満と肥満症の違いが認識されておらず、【ダイエット】の一言で片付けられてしまうのが現状です。

われわれ理学療法士は、肥満症として対象者の病態を多角的に踏まえた上で運動介入を行なっていくべきだと思います。

 

いかがだったでしょうか。

https://310-pt-base.com/dm/highblood-pressure/

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