糖尿病

意外と知らない 糖尿病と認知症の関係

マー君世代の理学療法士です。

認定理学療法士(循環)、心臓リハビリテーション指導士、糖尿病療養指導士の資格を生かして学生、若手PT、一般の方に向けて専門的で分かりやすい情報を発信します。

今回は、意外と知らない糖尿病と認知症の関係について考えてみたいと思います。

今や内部障害領域の患者さんだけではなく、その他の理学療法が適応の患者さんも糖尿病に罹患している場合があります。

では、今回の内容です。

  • 糖尿病患者数は過去最多に増加
  • 血糖値と認知機能
  • 認知機能と運動療法
  • 実習や臨床でどう応用する?

糖尿病患者数は過去最多に増加

厚生労働省は「2017年患者調査の概況」を発表しました。

糖尿病患者数は前回調査(2014年)から約12万人増えて、過去最多の328万人越えとなりました。

これは約10年前の糖尿病患者数246万人よりも約80万人も増加しています。

つまり、これだけ糖尿病患者の数が増えているということは、必然的に我々の担当する患者さんも糖尿病を罹患している確率が高くなっているということです。

 

そんな中で、

自分は整形外科疾患だけをみていれば大丈夫!

なんてことにはなりません。

なぜなら、

私たちの職種は病気や怪我を診ているのではなく、ヒトを診ているのです。

血糖値と認知機能

血糖値が高い人ほど認知機能は低下しやすい。

糖尿病の人は、認知症を発症するリスクが高いと考えられています。

血糖値が高いほど認知機能は低下しやすいことが、5000人以上を10年間追跡した調査で明らかになっています。

認知機能の低下は、記憶力、集中力、意思決定力などの精神的能力の変化を示します。

認知機能が低下している人は、認知症を発症するリスクが高いと考えられています。

認知症と糖尿病との関連については、様々な研究が進められていますが、日本でも「久山町研究」で高齢糖尿病患者では認知症の合併が多いことが明らかとなっています。

糖尿病のある人は、そうでない人に比べてアルツハイマー型や血管性認知症の発症リスクが2倍以上に上昇すると言われています。

「久山町研究」は知っておくといいですよ。

循環器や代謝などの内部障害領域のエビデンスは、この「久山町研究」をベースにしているものが多いです。

若手PTの皆さんは、研修会や学会に参加すると今後耳にする研究の名前だと思います。

また、海外においても英国のインペリアル カレッジ ロンドンの研究で、過去1~2ヶ月の血糖値の平均を反映する「HbA1c」の値が高い人ほど、認知機能が低下しやすいことがわかっています。

急性期の総合病院で勤務する上では、HbA1cの基準値を正確に暗記することは重要ではありません。テストではありませんからね。

7%以下、合併症予防

8%以下、手術の可否や高齢者の基準

9%、末梢神経障害の出現率上昇

10%以上、もう・・・どれも一緒!!!

こんな感じで理解した上で、患者さんへの対応を行なっています。

※これはあくまで私個人の見解です。

その一方で、良好な血糖値が認知機能低下を抑制することがわかっています。

つまり、いかに血糖値を良くするか。

これは我々、理学療法士の役割の一つです。

認知症を予防するために、若い時から積極的な運動をすると良いことはわかっています。

スウェーデンの研究では平均年齢47歳の女性800人の身体活動や精神活動を調査し、なんと44年間にわたり追跡したのです。

結果、中年期の身体活動レベルが高かった女性は、低かった女性に比べて血管性認知症リスクは52%も低く、アルツハイマー型などの混合型認知症リスクは56%も低い結果となりました。

※ちなみに、認知症予防・改善のための薬が世界各国で開発されていますが、アメリカやヨーロッパなどの大規模な臨床研究は、全て薬の効果はないという残念な結果や結論に終わっています。

その中には、大金を使って始めた大規模研究を取りやめるところが出ているくらい、認知症に対する薬の研究は頓挫しているのが世界的な現状です。

一方、運動療法については認知症の予防や改善に効果があるという論文が複数報告されており、これからは益々運動療法の重要性やそれに関わる理学療法士の役割が大切になってきます。

さて、認知症患者が増えてきていること、糖尿病と認知症に関連があること、認知症改善には運動療法が有効なこと以上について述べてきました。

では、これらの知識を実習生や若手のPTはどのように活かせば良いでしょうか?

 

臨床ではこう活かす!!

糖尿病の既往があるか確認しましょう。当たり前に聞こえるかもしれませんが、整形疾患の患者さんの内科的既往歴までしっかり網羅していますか?

もし糖尿病があるのであれば、リハビリ時間は食後にするべきです。さらに1日の血糖値の推移を把握した上で、血糖値が低い時間帯はリハビリは避けるべきでしょう。

糖尿病があるのであれば、糖尿病についての運動療法についても指導すべきです。TKAの患者さんが退院するときは、それに関連する自主トレメニューを指導しますよね?その感覚と同じです。糖尿病の既往があるのであれば、糖尿病に対する運動療法を指導しましょう。脳梗塞の患者であれば、麻痺の改善だけで終わってはダメですよ。なぜなら、糖尿病は脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めます。脳の血管は詰まったけど、心臓の血管は大丈夫!なんてことはありません!!

私は過去に脳梗塞を繰り返し発症していた患者さんが、心筋梗塞も発症して心臓リハビリテーションを担当したという経験があります。

糖尿病が既往歴にない患者さんでも、今後の糖尿病発症予防のために活動量を増やすべきです。糖尿病発症予防には1日8000歩以上が推奨されています。そのような観点から、患者さんの運動指導・生活指導を実施することも重要だと思います。

糖尿病と認知機能の関連は分かっていますので、OTやSTに認知機能について情報収集する。薬剤師に薬の飲み忘れがないか情報収集する。家族に最近物忘れが増えていないか情報収集する。つまり、認知機能の低下があった場合、どれほど熱心に自主トレメニューを指導しても覚えることが出来ない可能性があります。その場合、メモを渡す、家族同伴で運動指導をする、などの一工夫が必要になるかもしれません。

糖尿病と認知症の関連だけでも考えるべきことや工夫できることはたくさんありそうですね!

以上、今回は糖尿病と認知症の関連を中心にまとめました。

 

 

 

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