基礎知識

尿量はバイタルサインである 体水分バランスに気をつけよう

マー君世代の理学療法士です。

認定理学療法士(循環)、心臓リハビリテーション指導士、糖尿病療養指導士の資格を生かして学生、若手PT、一般の方に向けて専門的で分かりやすい情報を発信します。

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みなさん、患者さんの尿量などの水分量って気にしていますか?

今回は体水分のバランスについてまとめていきます。

目次

  • 体液の分布
  • サードスペースとは?
  • 水分バランス
  • 周術期の体液喪失
  • 実習生や若手PTはこうしよう!

体液の分布

体液とは身体の中の水分の総称です。

成人では体重の約60%を占めます。

そのうち、細胞内液(細胞の中の水分)は体重の約40%、細胞外液(細胞の外の水分)は体重の約20%を占めます。

体液の総量は、赤ちゃんの方が多く(約70~80%)、老人では減少(約50%)します。

サードスペースとは?

手術のような侵襲を受けると、血管の透過性(血管とその周りの組織との間で、水分や栄養分が行き来すること)が亢進し、蛋白が血管外へ漏出します。

すると、蛋白と一緒に水分も移動し血管内へ移動できなくなります。

このような血管内へ移動できなくなった体液を非機能的細胞外液といいます。

サードスペースは非機能的細胞外液が貯留する場所です。

サードスペースに貯留した体液は浮腫として認められますが、それ以外も胸水・腹水などで体液に貯留します。

サードスペースに体液が貯留して、水分バランスが多い状態でも、血管の中は脱水状態になることがあります。

 

水分バランス

人の身体は体液(身体の水分量)を一定に維持するために、飲食や呼吸・排泄を行っています。

1日の水分出納

身体の水分量が減少すると、口渇を感じて水分を摂取しますし、過剰になれば尿排泄量が増加します。

その働きによって、摂取量と排泄量のバランスは維持されていきます。

不感蒸泄とは

人は発熱がない状況でも皮膚や肺から一定量の水分を喪失します。

この時の水分を不感蒸泄と言います。成人では15ml/kg/日で、体温が1℃上昇するとごとに15~20%増加すると言われています。

ちなみに、汗は不感蒸泄じゃないですよ。

不感蒸泄は水分のみの喪失で、汗は電解質も喪失しますから。

尿量

1日の尿量は約1000~1500mLで、1時間あたりの尿量はおよそ体重1kgあたり1mlが目安になります。

ICUなどは温度板に1時間ごとの尿量が記載されていますので、リハビリ介入前には確認が必要ですね。

尿量が減少している場合は、脱水によるものなのか、腎障害によるものなのか鑑別が必要ですね。

 

周術期の体液喪失

周術期は

  • 術前の絶飲食による水分摂取不足
  • 術野からの不感蒸泄
  • 手術による組織障害に伴う局所浮腫が原因の機能的細胞外液量減少
  • 出血などによる体液喪失

ちなみに、絶飲食によって12時間で8~10ml/kgの細胞外液が喪失されます。

細胞外液のサードスペースへの貯留

炎症反応によって、細胞外液がサードスペースへ移動します。

その結果、細胞外液として機能するはずの体液量が減少し循環血漿量は減少します。

 

循環血漿量の減少

術中や術後に十分な補液(点滴)が行われますが、サードスペースはそのままです。

循環血漿量が減少すると、心臓へ戻る血液量が減少し(静脈還流)、血圧を維持しようと皮膚、腸、腎臓などの血管が収縮します。

また心拍出量が減少しますので、頻脈や呼吸速拍となります。

サードスペースに貯留した水分は、浮腫として現れます。

 

リフィリング

術後2〜4日目になると、サードスペースに貯留していた非機能的細胞外液が血管内に戻ってきて、一時的に循環血漿量が増加します。

その後、増加した循環血漿量が尿として排泄され、元の体液分布に戻ります。

この現象をリフィリングと言います。

この時期に、腎機能障害を起こると、増加した循環血漿量を尿として排泄できなくなり、静脈還流量の増加によって心拍出量や肺循環血漿量が増加し、心負荷を招き、血圧・脈拍上昇・不整脈を認め、肺水腫をきたす恐れがあります。

リフィリングの時期には腎機能や血圧・脈拍の推移とともに、尿量(時間ごと)の推移にも注意が必要です。

 

実習生や若手PTはこうしよう!

リハビリ介入前に患者さんの尿量(できれば時間ごと)をチェックするクセをつけましょう。

最初はわからなくてもいいので、見るクセをつけることが重要です。

さらに、食事量や水分摂取量の把握も大切です。

もし、摂取量(点滴など)よりも排泄量が多い場合は脱水傾向にあるかもしれませんよね?

その時は、皮膚が乾燥(脱水傾向)していないか?

手足は冷たくないか?(抹消まで血液が届いていない可能性)など触診してみましょう!

脱水ということは離床すると起立性低血圧を起こすかもしれませんよ?

その場合は、いきなり臥位→端座位ではなく、臥位→ギャッジアップ座位→端座位など段階的に離床しましょう。

体位変換ごとにめまい症状や血圧を確認しましょう。

あらかじめ、起立性低血圧が予想される場合は、下腿に弾性ストッキングを巻く、ストッキングを履く、腹帯を巻くなどして静脈還流量が維持できる(心臓に血液が戻りやすい)環境を作りましょう。

離床する前に、ベッド上で等張性運動をして心拍出量を上げる、抹消血管を収縮させることもおすすめです。

 

こんな工夫をすることで、

「起きれない患者さん」が「起きれるように」なるかもしれません。

明日からの臨床にぜひ役立ててみてください。

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