基礎知識

長期臥床 骨格筋への影響

こんにちは。

マー君世代の理学療法士(@310_PT_BASEです。

 

認定理学療法士(循環)、心臓リハビリテーション指導士、糖尿病療養指導士の資格を生かして学生、若手PT、一般の方に向けて専門的で分かりやすい情報を発信します。

今回は、長期臥床による骨格筋への悪影響についてまとめていきたいと思います。

その前に、早期離床の目的をまだ読んでいない方はこちらへ

早期離床ってなに?ざっくり理解しようマー君世代の理学療法士です。 認定理学療法士(循環)、心臓リハビリテーション指導士、糖尿病療養指導士の資格を生かして学生、若手PT...

早期離床の目的は簡単に理解できましたか?

早速、今回の内容にいきましょう。

とある実習生が言いました。

「廃用症候群とは、関節拘縮が起きて、筋が萎縮して・・・」

今日は、皆さんが何気なく使用している「廃用症候群では筋肉が萎縮する」ということについて、まとめていきたいと思います。

目次

  • 抗重力筋の筋力低下
  • 寝たきりに順応してしまう筋肉
  • タンパク質の代謝に影響
  • 筋肉の使い方を忘れる
  • 安静臥床による筋力低下
  • 筋肉の元になる細胞が生まれない

抗重力筋の筋力低下

寝たきりになると筋力は低下しますが、全ての筋肉が同時に筋力低下を起こすわけではありません。

脊柱起立筋や下腿三頭筋といった抗重力筋は、無意識のうちに姿勢を保持するために収縮しています。

しかし、寝たきりになると抗重力筋は収縮する機会を失い、他の筋肉に比べて優位に筋力低下を起こします。

本来、姿勢を保持する重要な筋肉であるにも関わらず優位に低下してしまうということは、その後の離床も大変になってしまうということですね。

寝たきりに順応してしまう筋肉

抗重力筋は、持久力の発揮に有利な「タイプⅠ繊維」と呼ばれる筋肉です。

この筋肉は収縮する速さが遅いことから遅筋と呼ばれています。

これは海を泳ぎ続けるマグロをイメージしてみてください。

逆に上腕二頭筋のような筋肉は瞬発力の発揮に有利な「タイプⅡ繊維」と呼ばれる筋肉です。

これらの筋肉は収縮速度が速いことから速筋と呼ばれています。

これは海を俊敏に動くカレイをイメージしてみてください。

実は抗重力筋の筋力低下は、寝たきりによって遅筋が速筋へと変性してしまうことも一因となっています。

重力に対抗する機会が減少すると、抗重力筋は「遅筋としての役割はいらないから速筋に変わろう!」と判断し、環境に適応してしまうのです。

タンパク質の代謝に影響

筋肉はタンパク質の筋原繊維で構成されています。

筋力を発揮するためには、タンパク質の合成が代謝によって進み、太い容積を保つことが重要です。

しかし、寝たきりになると代謝が進まなくなり、タンパク質の分解がすすんでしまいます。

タンパク質の合成より分解が優位に進むことで筋容積が少なくなり、機能として筋力が低下してしまうのです。

ヒトは通常の活動を行なっている場合、タンパク質を筋肉へと変化させる「タンパク合成機能」が働きます。

しかし、寝たきりになるとこの機能が狂ってしまい、逆に筋肉を壊していく方向に働き出します(タンパク分解能亢進)。

正常に筋肉を作る指令が、寝たきりだと途絶えてしまうのです。

筋肉の使い方を忘れる

一本の神経が何本の筋繊維を支配しているかを、神経・筋支配比と言います。

学校で習いましたね。

この神経・筋支配比が高い程、一度に大きな力を発揮することができますが、寝たきりでいると、神経・筋支配比はどんどん低下していきます。

また筋肉に指令を出す神経の伝達速度も約10%低下してしまいます。

つまり、筋肉への命令が伝わりにくく、速度も遅いということになってしまいます。

安静臥床による筋力低下

基礎研究で、ラットの後ろ足を浮かせて安静臥床と同じ不使用の状態にした実験があり、その結果、筋肉の重さは14日間で60%程度も落ち込んだと報告されました。

人間の実験においても、20日間の寝たきりで膝屈曲・伸展筋横断面積が7%減少したと報告されました。

筋力とよく相関する筋横断面積の減少度をみても、長期臥床が筋力低下を起こすことは明らかなのです。

筋肉の元になる細胞が生まれない

筋肉の元となる細胞はMyoDと呼ばれる遺伝子系タンパク質と結ばれて筋肉へと成長します。

しかし、寝たきりでは、筋肉の元となる細胞とMyoDの両方が激減して2週間で10分の1以下になるとも言われています。

少しだけマニアックな話でしたね・・・。

 

いかがだったでしょうか?

何気なく考えていた、寝たきりは筋力が弱くなるといことを少しメカニズムと一緒に理解できたかと思います。

廃用性の筋力低下は、患者さんが抱える問題点の大きなひとつです。

後日、これを改善させるための最新のエビデンスについてもまとめていきたいと思います。楽しみにしていてください。

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